「あ・・・。」
カツッ
ガーッガーッガーッ
煙草を取るつもりが、すべって携帯を床に落としてしまった。
同時に振動し始める携帯。
高貴がそれを拾い上げて、アタシに手渡す。
「サンキュ。」
画面を確認すると・・
{着信中 那智}
「那智だ。」
そう言って携帯を耳に当てた時。
「那智?」
何故か不満そうな高貴の声が耳をかすめた。
「はい。」
「もしもし?俺。」
「うん。どした?」
「今がっこー?」
「そう。でも屋上。」
「サボりかよ?」
「ん。高貴も。」
チラッと高貴に視線を向けると、背を向けて空を仰いでいた。
「・・・・・。」
「ん?もしもし?」
「あ、あぁ。祐樹の事、とりあえず警察行くんだろって聞いて。」
「行くって言ってた。」
「そうか。まぁ、祐樹なら無事だろうけど、心配だしな。早い方がいい。」
「うん。」
何か・・・
「じゃ、また落ち着いたら連絡して。」
「・・あい」
ツー・・ツー・・・
那智が言いたい事は、他にあった気がするんだけど・・・
ま、いいか。
とりあえず携帯を握り締めたまま、高貴の背中に蹴りを入れた。