胸の中、もっと奥の方から、何だかドロドロした感情が湧き出てくる。




「由美が・・・?」

わけがわからない。



立ち尽くすアタシを抱える様にして、那智がアタシをベンチに座らせた。


「・・・・・。」


「・・・・・。」


答えを探す様に那智を見上げても、黙ったまま悲しい表情を浮かべるだけだった。



「相手はうちらの倍以上の人数。鉄パイプに警棒。あんなんどっから持って来たんだ・・・・」


勇ちゃんが難しそうにため息をつく。



「とりあえず今夜はもう祐樹は帰って来ない。雅、お前、目ぇヤバイだろ?」


高貴が冷静にそう言って雅の顔を覗き込んだ。


「あぁ、さっきから見えねぇ。」


そういえばさっきよりも、雅の目の状態が酷い気がする。


薄っすら滲んでいたものが、いつの間にか鮮明に、真っ赤な血液が眼球の周りに付着していた。



「救急行くぞ。竜、タクシー呼んで」