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2003年 冬
ニューヨーク
「あ?っざけんなよ」
電話越しに怪訝な表情を浮かべる男が一人。
携帯を握りしめて、道端に佇んでいた。
すっかり町並みに溶け込んだ風貌。
でも銀色に輝く髪は変わらなかった。
「あーはいはい。わかったよ!帰る帰る!ったく。じゃーな!!」
いい加減は返事を返して一方的に電話を切った。
「Where is Julliard School of Music?」
ふいに背後から声をかけられて、男が振り返る。
「あぁ、ここですよ」
そう言って目の前にそびえ立つ建物を指差した。
「・・・・・・」
日本語でそう答えた男は、首を傾げた通行人を置き去りにして歩き出す。
手には大事そうに、バイオリンケースを抱えて。
Where is Julliard School of Music?
[ジュリアード音楽院はどこですか・・?]