「引越し・・・いつ?」
「・・・・・・」
ふいに尋ねた那智に、驚きを隠せずに顔を上げた
「お母さんに聞いた。」
アタシの表情を読み取って、那智が言葉を付け足した。
「・・・年明け。」
そう呟いて俯いて俯く。
「どこに行くの?」
「東京・・・・」
「そうか・・・。」
「・・・・・」
那智は、竜みたいに
そんな距離・・って言ってくれないのだろうか。
少し待ってみても、期待通りの言葉が返ってくる事はなくて・・
代わりに抱きしめた腕をそっと離した。
「バイトは?」
「・・・マスターには電話で説明したよ・・」
「竜は知ってるの?」
「ううん。知らない」
「そう・・・・」
「・・・・・・」
それ以上の会話が続かなくて、いたたまれずに二人とも俯く。
辺りはどんどん暗くなって、
空が泣いたら・・・
素直になろうと決めてたはずなのに
こんな日に限って空は晴れてて
かわりにアタシが泣き出す始末。
ドラマみたいに、ロマンチックにはいかない。
物語みたいに、
上手に生きられない。
不器用で、まだ心が未完成で・・・・
もう少し大人だったら
回り道しないで済んだのかもね・・・?