その日の真夜中だった。




ブーッブーッブーッ



「っち。」


小さく舌打ちをして、枕元の携帯画面を確認する。



{着信中 那智}


「・・・・・・。」


ブチッ


躊躇わずに思い切り電源ボタンを押した。



ブーッブーッブーッ


「・・・ったく」



ウトウトとしかけた時、また携帯が鳴り始めた。



仕方なく耳元に運び



「もしもし・・・」


寝ぼけ半分で電話を取ると、やけに静かな声で電話先の那智が口を開いた。



「祐樹が拉致られた。」


「・・・・・。」


ガバッ!!


勢い良くベットから起き上がる。


「・・・な・・」


何で・・


「今から出れるか?」


「・・・うん。」

アタシは頷きながら、すぐに着替える準備をしていた。



「迎えに行く。」


「わかった。」





拉致って・・・・