それを指先で拭いながら、テレビのリモコンを握る。

ただ眺めているだけで、コロコロとチャンネルを変えた。


ガシャンッ!

「・・・・・」

テレビの中で微笑むニュースキャスターに、思いきりリモコンを投げ付ける。


床に落ちた弾みで、テレビの画面は暗い砂嵐になった。


ザー
ザー・・・・・・


耳障りな音を聞き流しながら、ただ呆然とそれを眺める。




   無心

まるで何も感じない。



頭を抱えて、溜息をついた時


「・・・愛美?」

リビング横の寝室から、寝起きの母が顔を出した。