K病院
「・・・・・」
アタシはその建物を見上げる。
薄いグレーの外壁に、何故か温かみを感じられない。
こんな所に閉じ込められた白井が、急に可哀相だと思えた。
「行こう!」
梅沢がバイクのキーを抜くと、急かす様にアタシの肩を押す。
「・・・・・・」
黙ったまま頷くと、小走りで駆け出す梅沢を追い掛けた。
病院の裏口。
救急窓口を素通りする。
カチカチと何度もエレベーターのボタンを押す梅沢に、不安が大きくなる。
何度押したって、エレベーターはなかなか下りて来ない。
焦る気持ちを表すかの様に、梅沢が舌打ちをした時
チンッ
ようやく開いたエレベーターの扉。
飛び乗る様にして、目的地のボタンを押した。
「梅沢・・・・・」
背後から小さく、声をかけたものの、返事はなく
「・・・・・・」
黙ったまま閉ざされた扉の間に手をかけていた。
不安がだんだんだんだん大きくなる。
アタシはギュッと拳を握りしめた。
二階
三階・・・
四階 ・・・・・・・
点滅してくランプを眺めて
五階
点滅が止んだ時
その扉は開かれる。