「那智、梅倉公園まで愛美乗せてけ。」

電話を切った祐樹が、那智に声をかけた。


「・・・・何で?」

目を細めて祐樹を見下ろす。


「・・・・何でもだ。」

祐樹がそう答えると、那智は顔を背けた。


「・・・・・・」

「那智っ!」

「・・・・・」


「っ・・・もういい!」

何も答えない那智に痺れを切らして祐樹がアタシの腕を掴んだ時。


「・・・わかった。」

「・・・・・」

「・・・・・」

そう答えて、スタスタとアタシに歩み寄る。


虚ろな目で見上げると、視線さえ合わせずに那智が言った。


「行くよ。」


力強く腕を掴み、しゃがみ込んだアタシの体を起こす。


引きずられる様にして竜の部屋を出た。


「な・・・」

声をかけようとして、やめた。

「・・・・・」

那智の横顔が、怒ってる様に思えたから。



バイクのエンジンをかけると、猛スピードで走り出す。


その間もお互い無言のまま。

アタシは寒さも何もかも忘れて、今はただ


白井の事だけを思った