「・・・・・」

山崎・・・・?


祐樹の言葉に那智がこちらを振り向く。


祐樹と那智に見つめられたまま、アタシはそっと差し出された携帯に手をのばした。


「・・・・はい」

恐る恐る、携帯を耳に運ぶ。

「俺だ。今梅沢が倉木に向かった。急いで一緒に来い。」


「・・・・は?」

一方的にまくし立てられて、アタシはわけもわからず怪訝な表情を浮かべる。


「いいから急いで来い。梅倉公園わかんだろ?そこまで来い。後5分もしないで着くから。」


「ちょっと待て!良くわかんな・・・」

言いかけたアタシの言葉を、怒鳴りつけるかの様に山崎が遮った。


「説明してる暇ねんだ!白井が・・・・・・・・・・・・わかったか!おい!・・・・」


「・・・・・・」


・・・・・
・・・・・
・・・・・・・え?


今・・・・



山崎がおかしな事言った





耳元から下ろした携帯から、山崎がアタシに呼び掛ける声が微かに聞こえる。


「愛美・・貸せ。」


力なく、今にも手から離れてしまいそうな携帯を祐樹がそっと取り上げた。


「山崎?場所は?あぁ、わかった。行かせる。」


アタシは


ただ呆然としていた。


座りこんだまま


根が生えた様にイチミリたりとも動けない。