~♪~♪ ~♪


急に陽気な着メロが響く


「・・・・・んっ」

祐樹が顔をしかめながら、のっそりと上半身を起こした。


「あ、愛美来てたのか」


寝ぼけた顔でアタシを見る


「うん・・てか携帯鳴ってるよ」



「お、おー」


慌てた様に胸ポケットから携帯を取り出す。


「・・・・・はい・・」

目を擦りながら、掠れた声で話し始める祐樹を尻目に、那智に視線を向けた

「・・・・・」


目にうつるのは那智の背中だけ。

窓の外を眺めている那智に、どれだけ視線を向けても


振り返る事はなかった。




アタシさ


何も知らずにいたんだね

痛みを知って


初めて気付くんだ


変わったつもりで


かわっちゃいなかった


結局は
自分ばっかりで・・・・



だからアタシは




あの時・・・・・



あなたの手を振りほどいてしまった・・・・・





ふいに・・・

「愛美・・・・」

携帯に向かって、低く相槌を打っていた祐樹が


アタシの名を呼ぶ。


膝を抱いたまま、祐樹を振り向いた。


「・・・・何?」


祐樹は、さっきとは違う
目の覚めた様な険しい顔で携帯をアタシに差し出す


「・・・山崎からだ」