竜の家の前に、ゆっくりと高貴のバイクが停車される。


「じゃっ、俺帰るわ」

アタシをおろすと、片手を上げて笑った。


「行かないの?」

「あー、親もうるせーしたまにはね。帰るよ」

「そう・・・・」

俯いたアタシの頭をくしゃっと撫でてエンジンをかける。


「チャイム鳴らさねぇで那智に開けてもらえよ?時間が時間だし。」


「うん・・・」

あ・・・・


ハンドルを握った高貴を呼び止める。

「待って!」

「・・・・?」

ガサゴソと鞄をあさって、一冊のスケッチブックを取り出した。

「これ・・・・」

差し出したソレを、黙って高貴は受け取った。


「・・・・何?」

その場でパラパラとページをめくる高貴に、アタシは思わず俯く。


「写真集見てうつしたんだ・・・下手だからあんま見んなよ」

急に自分がした事が恥ずかしくなる。


「・・・ニューヨーク?」

「ん、ニューヨーク。」


スケッチブックには、何枚も何枚も、ニューヨークの景色をえがいた。


白い画用紙に、沢山の色を使って。