「愛ちゃ~ん?そろそろ上がっていいよーっ」

マスターがキッチンから声をかけた。

時刻は18時過ぎ。


カランカラン


ちょうどその時、喫茶店のドア、鈴が音を鳴らした。


「「いらっしゃいませっ!!」」

竜とアタシが振り返ると


「・・・・・!」

「こんにちは。」

母が含み笑いをして立っていた。

「・・・・・!!」

は、恥ずかしいのは何でだろうか。

こんな制服だからだろうか。


「あ、愛美のママ!」

竜が満面の笑みで駆け寄る。

「おっ?」

顔を出したマスターに、母が頭を下げて言った。


「いつも娘がお世話になっています。」


「いやいやいやいや、良く働いてくれます。」

「・・・・・」

鼻の下が伸びてる様に見えるのは気のせいか・・


「渡すものがあって、寄らせて頂いたんです。勤務中にすいません。」

母はもう一度頭を下げると、アタシにノート位の大きさの、平たい紙包みを渡した。


「・・・・何?」

「後で見てみて?じゃあ、失礼します。娘の事、宜しくお願いします。」


そう言って去って行く母の姿を眺めていると

「いいママだね?」

竜がニコッと笑いかけた


アタシは小さく、

本当に小さくだけど頷いて笑った。