朝方

6時前。


寝不足の頭を左右に振って、リアを起こさぬ様リビングに向かった。

「はよ・・・・」

「おー悪りぃ。起こしたか?」

祐樹が携帯をいじくりながら、アタシを振り向く

「ん、大丈夫だけど早いね。」

「あー一回家帰って作業着になんねーとな。」

「あー・・そっか。」

土方だっけ。


・・・あれ

「那智は?」

辺りを見渡しても、那智の痕跡すらない。

「先出たぞ。」

「・・・・そか。・・・・珈琲入れるね。」

そう言ってキッチンに立ったアタシに、祐樹が声をかけた。

「あんま悩むな。」

「・・・・・」

思わず手をとめ祐樹を見る。

「んな面してっと不細工になんぞ。さ、俺行くわー」

素知らぬ顔して立ち上がる。

「珈琲は?」

「お前が飲め。」

「・・・・・」


玄関先まで見送るアタシに、家を出る間際一枚の紙切れを手渡した。


「竜が至急電話しろって。多分昼には起きてんだろ。電話して。」

「あーそっか。」

携帯ないんだアタシ。


「じゃあな」

「ん。いってらっしゃい。」

アタシはその紙切れを眺めて、首を傾げた。

「・・・・?」

至急?