「すんなり譲りたくなかったからだよ。」
「・・・・・」
え?
「例え仲間でも、渡したくなかったからだよ!なのに何で白井なんだ!」
「・・・ちょっと待って・・・わけが・・」
わけがわからない。
「・・・んっ」
「「・・・・」」
叫ぶ様な那智の声に反応して、ふいに祐樹が寝返りをうつ。
視線を外して、
二人して俯いた。
「それで俺、困るって・・・そう言ったよね?」
那智が囁く様に言う。
「・・・・・」
確かに言った。
まるで突き放す様に。
そっと頷いたアタシに、那智が苦笑いを浮かべた
「本当に困ると思う?鈍いね、ホントにお前は・・・・・・」
「・・・・・」
譲るとか渡すとか白井とか・・・
那智は何を・・・・
バサッ
祐樹がかけてた毛布が床に落ちる。
「「・・・・・」」
「・・・?何してんの」
祐樹が目を擦りながら体を起こした。
「・・・別に。」
そう答えると、那智は背を向けてソファに倒れ込んだ。
何事もなかったかの様に
「・・・・・?」
「・・・・・」
祐樹は寝ぼけてるのか、立ち尽くしたアタシに視線を向けてから
首を傾げてまた横たわってしまった。
それからアタシは
眠れぬ夜を過ごすはめになる。