何かに気づいた様に、すくっと立ち上がると祐樹が二人組に向かって歩み寄る。


「梅沢~!!!」


「おお!久しぶりじゃん!」



どうやら知り合いみたい。


三人は突っ立ったまま立ち話を始めてしまった。





「・・・那智?」

ふと隣を見ると、怪訝な顔でそのやり取りを眺めている那智に気づいた。



「あいつ等、嫌いだ。」


「・・・・。」


那智がこんな事を言うのは珍しい。



「友達じゃないの?」


「隣町の中学だった奴ら。」


隣町・・・・

確か那智達の出身は{倉木}って学校だっけ?



「梅林(ばいりん)って言うんだ。その中でもあいつ等はまだまし。」

そう言って目の前の二人を指差す。


「他の奴らは最悪。やる事ハンパじゃない。」


「・・・・。」

ふ~ん・・・。




梅林。


この時軽く聞き流していたこのモノが、後に生涯忘れられない出来事へと結びつける事となる。