「短い人生さー、一度でも他人の幸せを願えたら・・・天国いけっかなぁー」

上目づかいでアタシを見上げた白井に、フッと笑って言った。


「アンタは地獄でしょ?」

「・・・・・」

「でもいいよ。アタシも地獄に堕ちるだろうし」


そしたらきっと、寂しくないでしょ?


膝立ちになって、白井と視線を合わせる。


「アタシはアンタが嫌いだった。仲間を傷つけた。好き勝手暴力奮って、傲慢で卑劣な悪魔だと思った。」

本当に、そう思った。


「へー?随分な言い草」

酷い言われようなのに、白井はそれでも嬉しそうに笑ってアタシを見る。


「でも・・・・・」

「でも?」

優しくアタシを見る白井に、喉の奥からようやく声を搾り出した。




「でも・・・憎めないよ・・どうしたらい?」

「・・・・・・」

真っ直ぐと見つめたアタシに、白井は目を閉じ、顔を伏せた。


「アンタも自分が嫌いだったんだろ?ずっと一人ぼっちで悲しんで来たのに、仲間にまで裏切られて・・・可哀相だ・・・・」


「・・・・・」

そう言ったアタシの言葉に、ゆっくりと白井が顔を上げて・・・・


そして目を丸くした。


「泣いてんのか・・」

「・・・・・・」

泣いてる?

ああ、そうだ。

アタシ今、泣いてるんだ
ようやく
泣けたのに・・・


頬に伝う雫を、指先で拭った。

何でだろ。

心の中をグルグルと黒い渦が回ってる。


何で戸惑うんだろう。


それはきっと・・・・