口をポカンと開けたアタシに、白井が面倒そうに話し出す。
「アイツの目ー見ただろー?瞳孔開きっぱなし。シャブ中の一歩手前ー」
「・・・・・・」
よく簡単に言ってくれる
「上の連中に渡された物を、売りさばくのが藤本。料金をかいしゅーすんのが俺ー。でももーやめたー。」
「・・・・・・」
アタシは少し不安になる
そう簡単に手を引ける仕事じゃない気がするから
「まー大丈夫でしょーう。俺強いし。上の奴らも何も言わねーよ。藤本達はどーか知んねーけど」
「・・・・・そう。」
ベットに寝転んだ白井に視線を落として、アタシは背を向けドアを開けた。
「煙草買ってくる。」
「はいよー」
背中越しに返事を聞いて、そっと階段を下りる。
この日から
何かが確実に動き初めていたなんて
アタシは知らずに居た。
それを知るのは少し先の未来。
人生の中でも最大の
選択肢を迫られる日となる・・・・・・