トントン

そんな事を話していると、部屋のドアがノックされた。


「はーい」

白井が雑誌を置き、返事を返す。

ゆっくりとドアが開かれ男が顔を出した。


「支払い回収どーなってる?」

男はドアの入口でチラッとアタシを見てから白井に視線を向ける。


「・・・・・」

コイツ、あの時の男だ。


「だーかーらー、もーやんねぇって。」

白井は苛々した様に、眉間に皺を寄せて煙草をふかす。


「はぁー本気で言ってる?上の連中ご立腹だぞ」


「後は藤本が好きにしたらいーよ。」


白井は投げやりにそう言うと、藤本とゆう男に背を向けた。


「お前のせいか?」

藤本がアタシを睨み付ける。

「・・・は?」

とんだ勘違いをされてる気がする。


「数日の間に骨抜きにするなんてスゲーなぁ?どんだけだよお前?」

ジロジロとアタシを見る目

やっぱりおかしい。


思わず身構えた時

シュッ

ガンッ!!


藤本とアタシの間を、物凄い勢いでゴミ箱が飛んで来た。


壁にぶつかり、中身が散らばる。


「また鼻血出したくなかったらさぁー早く出てけやぁー。藤本ー」


白井の視線、向けられていないアタシでさえ怯む様な鋭い目。


「本当に手、引くんだな?」

確認する様にそう尋ねた藤本に、白井が言い放った。


「しつこいぞ。」

「・・・・・」


無言のまま、藤本は睨みつける様にしてドアを閉めた。


「・・・・・」

立ち尽くしているアタシに、白井がボソッと呟く。


「気にすんな。アイツらりっぱだからー」

「・・・・」

らりっぱ?