「煙草買ってくる」

白井の部屋、ドアノブに手をかけた時


「ねー・・・」

「・・・・?」

求人雑誌を読み耽る白井が、顔も上げずに声をかけた。


「また飯作れよー」

「・・・・・」

「梅沢も山崎もさー、片親だし、家庭の味に飢えてんだよっ。意外と美味かったし。」

「・・・・・」

何となく、白井が言いたい事がわかる。

「次はカレーな?山崎超食うからなぁー」

「山崎じゃなくて、お前が食べたいんだろ?」

「・・・・・」

そう言って思わず苦笑いしたアタシに、白井は開き直った様に呟いた。


「・・・・悪りぃーか」


ここへ来て初めて、アタシが笑みをこぼした瞬間だった。