「で?どちらまで?」

バイクのシートに、アタシが座るのを確認して、首だけアタシを振り返る。


「フライパンとまな板と洗剤と包丁と油とスポンジと食材が売ってる店」


「・・・・駅まで行かなきゃ駄目じゃん・・・」


山崎はそう呟いてエンジンをかける。




携帯を白井にへし折られたアタシは、


誰と連絡を取れるわけでもなくて。


料理なんて久しぶりだったし、何を作ろうとか


何にもないキッチンに、何が必要かとか


白井がそう簡単に、公正するとは思えないとか


そんなくだらない事しか考えてなくて



だから、

予想もつかなかった。


半分忘れてた約束が、果たされる日が来る事。