「はぁー・・・」

溜息をつきながら、白井の部屋、一人で煙草をふかす。


相変わらず捕われの身のアタシは、日中はまるでやる事がない。


「・・・・・・」

ふと、床に置かれたごみ箱のわき

細かい白い粉が僅かに散らばっているのに気がついた。


「薬?」

瞬時的にアタシは風邪薬か何かだろうと、そう判断した。


小さなデェスク用の掃除機をベットの下から引きずり出して、スイッチを押そうとした時


違う。


薬の粉の形とはまた違う

少し粒の粗い、氷砂糖を細かく砕いた様な形。


「・・・・」

嫌な予感がした。


ごみ箱をひっくり返す。

ごみ箱の中にセットされたビニール袋の下から、更にビニール袋に包まれた何かが現れる。


「注射器・・・」


アタシの予感が、的中した瞬間だった。





下の部屋から話し声が聞こえ始める。


白井が帰ったんだ。


他に誰がいたって構わなかった。


トントントントン・・・・


階段を駆け降りると、ちょうど玄関先に白井と山崎の姿。


「お・・・」

白井がアタシに視線を向けた瞬間。


バシンッ!

「・・・・・・」

思い切り平手打ちをかました。

呆気にとられる山崎をよそに、白井はニヤッと笑う。

「ねぇ?なぁーんで俺殴られてんのー?」

「何してんだよお前!」

怒鳴りつけるアタシに、白井は首を傾げる。


「何がぁー?俺何したよぉー?」

アタシは白井の目の前に、注射器が入ったビニール袋を押し出した。


「これは何だ!?」

「・・・・・・」