「ごーくろーさーん」


駆け足で向かった先、白井がバイクに背をもたれて手を振った。


「・・・・・」

んのやろー・・・


「早かったねぇー」


「何なんだよ!?」


呼吸を調えながら、涼しい顔をする白井を見上げた時


「・・・・・へ?」

相当マヌケな顔をしていたに違いない。


白井が目の前に差し出したソレを見つめて、目が点になる


「やるよ。」

「・・・何で?」

「誕生日なんでしょ?」

「・・・・見たの?」


もう片方の白井の手には、しっかりとアタシの携帯が握りしめられてあった。


「うん見たー。いっぱいメール来てたよぉ?誕生日おめでとーって。」


「・・・・・」

そうですか・・・


「ほらープレゼントー」

難しい表情を浮かべるアタシに、もう一度ソレをグイッと差し出した。


「・・・・・」

無言でそれを受け取る。


「これ、アンタの花。ルビーローズってゆうんだぁー」

「・・・・・」

得意げになって言った白井を見上げてから、アタシは握ったミニブーケに視線を落とした。

ルビーローズ。

小さい深紅の薔薇の花。