「・・・・なっ!」

「冗談っ」

「・・・・・」


完全にからかわれているんだろう。

那智はクスクスと肩を揺らして笑い転げる。



じっと睨むアタシに気付いて、苦笑いをして那智は言った。


「はぁ・・・あのねぇ?そうゆう顔であんま見んな・・・」

「・・・・・」

ひどっ


那智は口元をおさえたまま、そっぽ向いてしまう


「「・・・・・」」

その後二人して俯いて、いつもみたいに喋れなくて・・・・


変な空気。


「じゃ、行く・・・」

那智が片手をあげて、
アタシも同じ様に軽く手をあげた。

「ん・・ありがとね」

「おぅ、またな・・・」


バタンッ


玄関のドアが閉まっても、アタシはポーッとしたままその場に立ち尽くしてた。




きっとこれだけの為に、那智は飛んで来てくれたんだろう。


光るリングを眺めて、アタシはほんの少し頬を赤らめて

そして

胸が・・・
苦しくなった・・・





Priririri
Pririririri


那智が家を出て間もなく

家の電話が鳴り始めた。


幸せの余韻に浸る時間もないのか。




慌ててリビングまで駆け戻ると、受話器を耳にあてた。


「はい。」

「愛美・・?」

「・・・・・」