チラシの裏に走り書きした番号を、確認しながらプッシュする。



TRRRR
TRRRRRR


8回目のコールでようやく繋がった。


「はい・・・」

警戒してるのか、少し低い那智の声。

「・・・アタシ。」

「・・・・・・・ちょっと待って。」

「ん。」

電話したら、まずかったかな?


しばらくガサゴソと動く音が聞こえたと思えば、急にいつもの調子で那智が叫んだ。


「愛美っっ!?」

「そう。」

「今どこ?」

「家・・・・」

アタシの答えに、那智が安堵の溜息をつく。

「あ~そうかぁ良かった。一人か?」

「うん。」

何が良かったんだろう。

「大丈夫か?怪我とかしてないか?」

「うん・・」

「今日はずっと家か?」

「うん・・・」

「じゃあ今から行く」


「うん・・・・え?」

ちょっとそれは・・・

「いい子で待ってて?」

「いや、那智・・・」

「待ってて?じゃあね」

「ちょ・・・・」

ツー・・・
ツー・・・・・


なんて強引なんだろう・・・・・

言い聞かせる様な声でそう言うなり、一方的に電話を切られてしまった。