「それから引き取り手もなくて、ここで一人暮しー。じーちゃんと一緒に住んでる事になってんだけどさぁー。」


「・・・・・」


「人殺しとは住みたくないんだってー」


そう言って笑ったくせに、やっぱり白井の目はどこか冷たい。



「俺が殺した。」

「・・・・それは」

それは違う。

気付けばそう言おうとしてる自分がいる。


「それからはさーアンタも知ってるでしょ?気に入らない奴は徹底的に潰した。」

フッと笑った白井を、真っ直ぐに見据える。


「何でだよ・・・」

アタシにとっては1番重要な所だ。


「ちゅーとはんぱダカラ」


「・・・・」

意味がわからない。


「悪ぶってイキガッてるくせに、結局誰かに守られてる甘ちゃんじゃん」


「・・・・・・」

いつかの由美の言葉と、重なる。



「ムカつくんだーそうゆう奴らが・・・」



そう言った白井の目は、アタシの体も神経も、一瞬で硬直させる程

怒りや悲しみ 憎しみに満ちてた。




「アンタじゃなくても良かったんだー。」


「・・・・・」

そう言ってアタシを指差す。


「でも俺の事さー殴った女初めてだった、あの状況でマジ信じらんねぇー」

可笑しそうに白井は笑うけど、それでやり返されて鼓膜破ったんだ。

笑えやしない。


「・・・・・」

黙ったままのアタシに、白井が呟く。


「もしもアンタが・・・」


「・・・・・・」


「・・・・嘘。なーんでもないっ」


「・・・・そう。」

アタシは俯いて、背を向けた。


「送る。」

背中越しに、白井がそう言った。


アタシは小さく頷いて、強く拳を握りしめた。



暴力に理由なんか関係ない

悪いもんは悪いし

傷つける人間が悪にまわる


でも・・・・


じゃあさ。


誰かを傷つけて

そして傷ついて

誰かに傷つけられて・・・・

また人を傷つけて


一体・・・・


誰が悪いの・・・?