「んっ・・・」

うっすらと瞼の裏に光がさす。

と同時にアタシの頬を、誰かが突く感触。


「・・・・んっ」

手でそれを払いならが、ゆっくりと瞼を開いた。


ぼやけた視界の先


「・・・・なっ！」


白井が首を傾げてアタシの頬を突いていた。


ガバッと体を起こす。


「なーんでんな所で寝てんのー？」

「・・・・・」

階段を上りきった、白井の部屋の前。

つまり廊下でアタシはくたばっていた。

少し休むつもりが、爆睡するなんて最悪だ。

「で？なぁーにしてんのー？」

「・・・・・」

アタシは黙ったまま、握った手を差し出す。

「なんかくれんのー？」

手をのばした白井に、そっと指輪を落とす。

「・・・・・」

「・・・・・」

黙ったまま白井は、しばらくそれを眺めてた。


「今何時？」

「あ？10時」

白井が慌てて答える。

そんなにアタシは寝てたのか・・・・



「出るんでしょ？頼みがあるんだけど。」

「あ？頼みー？」

白井を見上げて、まだかすれた声で祈願した。

「疲れた。」

我ながら、完全に敵に隙を見せてると思う。

でも限界だった。

一日中ゴミ屋敷の掃除をして、更にオールでゴミあさり。


「・・・・・・」


疲れきったアタシは、白井が部屋を出ると同時にそのまま白井のベットに横になった。


「この部屋には誰も来ないから大丈夫だよー」

白井がそんな事言った後に、

「ありがとう」

小さな声でそう言った気がしたけど。

でも気のせいだと思う。


あの男がそんな事、言うはずないから・・・



浅い眠りの中。

アタシは夢を見る・・・