「殴ったの?」

「意地悪でもされたぁー?」

「・・・何も。」

本当に何もされてない。


「掃除まじでやったんだねー超きれーだったーA型ぁ?」


「O型。」

「ふぅーん。」

興味なさそう。
なら聞かなきゃいいのに


そんな事より・・・

「仕事何してんの。殴り屋?」

嫌味のつもりで言ったのに、白井はシレッと頷いた。

「そーだよぉー」

「・・・・・」

「あ、ベットどいて。疲れたから寝るー。」


しっしっと手を払う仕種を見せられて、アタシは疲れた体を無理矢理起こした。


「帰るぞ。」

「んー、梅沢に送ってもらいなー」

「・・・・」

ため息をつき、ドアに手をかけた時。


「ねぇー」

「・・・・」

振り返ると、俯せになったまま白井が尋ねた。


「プラチナの指輪しらない?女もんのー」

「・・・さぁ?」

指輪?

「ならいーや。」


アタシ間違えて捨てたのかも。

あんだけボンポン捨ててたら、ありえなくない。


「大事なやつ?」

「んー母親の形見。」

「・・・形見?!」

形見って・・・・

「いいよー。いらないから。」

「・・・・・」

んなわけないでしょ


「早く帰りなーまた虐められるよぉー」

「・・・・・」

振り向きもせずベットに横たわったまま、片手をヒラヒラ振った白井に一度視線を落として



パタン・・・


アタシは静かにドアを閉めた。