「祐樹仕事は?」

紅茶を人数分、テーブルに並べてアタシもソファに座る。


「雨なのに出来るかよ。那智も休みだろ?」

そう答えて那智に顔を向けた。

「うん、休み。」


「あーそっか。」

那智も祐樹も力仕事だ。
いわゆるガテン系。

雨や雪だと仕事は出来ない。


「愛美ぃ~砂糖足りない~っ」

「はいはい。」

竜の我が儘に、二つ返事をしてキッチンに立った


その時だ。


ガチャッ ガチャッ


玄関の鍵を、誰かが開ける音がする。






「・・・・?」

今夜は帰らないはずじゃ



慌ててキッチンから出て、廊下の先、玄関に視線を向ける。


キィー


ドアが開き、母が顔を出した。


「・・・・・」

そんな母より真っ先に、母の後ろに居る人物に視線が向く。


「あら、お友達?」

はたから見たら柄の悪い倉木のメンツに、母は愛想よく笑ってみせた。


「「お邪魔してます」」


元気に挨拶をする倉木に、何故か母は嬉しそうに微笑む。



後ろに居た男が顔を覗かせた。


「はじめまして、わ・・・・」

「お構いなく。」

男の言葉を遮り、アタシは二人に背を向けた。


居心地の悪そうにしている皆に声をかける。


「アタシの部屋行こ。」

玄関横、すぐ右側の部屋を指差した。