どうしてこんな状態なんだろ。


いつもの公園まで来ると、那智はアタシをベンチに座らせた。



黙ったまま。

二人並んだベンチ。



少ししか離れてない距離が、凄く遠く感じるのは何故だろ。


チラッと那智の横顔に視線を向ける。


「・・・・。」

長い睫毛。

女性的な唇。


嫉妬しちゃう位、相変わらず綺麗な顔。



「・・・!!!」


ふいに視線がぶつかって、思わず顔をそらす。



「ねぇ・・高貴と・・」

そう言いかけた那智を振り返って、思わず声を上げた。


「高貴とはなんでもない!」


「・・・・・。」


アタシを見下ろしたまま、その目はまだ揺れていて、何だか疑われている様な気持になる。


「アレは、違くて・・ただ、アタシが何も言わないから。心配して・・・・」



「ふ~ん。」


「ただ!ただ・・・心配してくれただけで・・・」


「・・・・。」


バカだ。


何でこんな言い訳みたいな事。


思わず膝に視線を落とす。




「愛美?」

「・・・・・・」

・・・え?


見上げた那智は・・・



見たことない顔で微笑んでた。