「お邪魔しましたぁ」
「またねぇ~」
「じゃあな。」
皆が手を振りながら、竜の家を出て行く。
「愛美。」
玄関先、遠慮がちにアタシの袖を掴んだ竜を振り返った。
「ん?」
「何かあったら電話してね」
照れた様に言った竜に、笑顔を返した。
「ありがと。」
そう言いながら。
何だか自然に笑顔を返せる自分が、素直すぎてちょっと気持悪い。
表に出ると既に、みんながバイクで走り去った後。
残されてるのはアタシと美咲と高貴だけ。
まったく皆マイペース。
約束なんかしなくても、どうせ次の日も集まるのはわかるんだけど。
向き合って バイバーイ! とか、そういやした事ない気がする。
「行こうかぁ」
「ん。」
美咲と高貴と三人並んで歩き出した時。
「あ・・・」
「愛美!!!」
「・・・・・。」
高貴が切り出した声と、後ろから誰かがアタシを呼ぶ声が重なる。
振り返った高貴に視線を向けて、その視線の先を確かめる様に、アタシも後ろを振り返った。
視線のずっと先。
引き返してきた那智が、高貴をジッと見てた。