「はなし・・」

「俺じゃだめか?」


「・・・・・。」

抵抗するアタシを、より強く抱きしめる。


「那智が好きなのか?」


「・・・・。」


耳元で優しくそう言われて、ちゃんと答えたいのに、どう答えていいのかわからなくて・・・・・


突き放そうとした時。





カツンッ


小さな足音が聞こえた。



居酒屋の入り口に続く、アルミ製の螺旋階段。


見上げると。



那智が・・・



驚いた様な顔をしてアタシ達を見てた。



「あー・・・悪り。心配だったから、電話しようと思ったけど、大丈夫そだね。」


片手に握った携帯を持ち上げて、苦笑いした。



「な・・・」


体を翻す那智を、呼び止めようとした時。


「・・・・・・。」


グッと腕を捕まれた。


振り返ると、高貴は真剣な眼差しで。


アタシをジッと見てた。



「アタシは・・・」


アタシは・・・・


「・・・いい。送る。」


答えを聞く前に、高貴がアタシに背を向ける。



アタシは・・・・



何を言おうとしたんだろう。