アタシの携帯の着信履歴は、ほとんど非通知で埋め尽くされていた。


「何でだよ・・・」


高貴が険しい顔でアタシを見る。


「女になれと言われた。」



そう。

何度も何度も電話してくると思えば、最後の最後にはそんな事を言い出した。



バカにしてるとしか言い様がない。



「・・・・・。」

言葉も出ない様子で、高貴は深いため息をつく。


「・・・・・。」

アタシも何も言えなくなる。



アイツが何を考えてるのかがわからない。


でも・・・・



「大丈夫。もう迷惑かけたりしないから。」

そう呟いた。


もう、倉木の皆にあんな思いさせたくない。


「・・・・・。」

アタシの言葉を聞いて、高貴がパッと顔を上げる。



「高貴・・?」

歩み寄ってくる高貴を、ただ呆然と見上げていた。



「・・・・っ!!」


「なぁ?そんな頼りねぇか?」


何が起こったのか、

一瞬わからなかった。


いつも並んで歩く距離に居た高貴が、
ほんの数センチの隙間もなく


強くアタシを抱きしめている。