「ちょっ・・病人はいたわって!」

強くつかまれた腕を、振り払った。


「どこが病人だよ!?」

振り返った高貴は呆れた顔で言った。


「・・・・。」

何だ、ちゃんとわかってるんじゃん。


繁華街の路地裏。


突っ立ったままの高貴が、真っ直ぐにアタシを見る。


「何があった?」


「・・・・。」


真剣な眼差しにきつい声。



シュッ


アタシは自分の携帯を、高貴めがけて投げつけた。


「っぶねぇ。」


高貴がそれをキャッチして、首を傾げてアタシを見る。


「見てみ?着信履歴。」


「・・・・。」

無言のまま携帯の画面に視線を落とす高貴に、アタシは唇をかみ締めながら言った。


「全部白井からだ。」