「愛美?」
「おーいっ!」
「あーいーみーちゃーんっ?!」
「・・・・。」
「おいっ!!」
ガチン!!
「痛っ」
美咲に思い切り後頭部を叩かれて、前のめりになる。
「どしたの?」
竜が上目つかいでアタシの顔を覗き込んだ。
「へ?」
「へ?じゃねぇよ。アホ面しやがって。」
祐樹が呆れた顔で笑った。
「あーごめん。」
ぼーっとしてた。
居酒屋の一角で、珍しくみんなで夕食を食べていた。
机の上には小皿に盛られた塩辛やらキムチやら。
まるで酒飲みみたいな物ばかり。
アタシは箸をくわえて、それをボーっと眺めていた。
「お子様はコレでも食べなさい。」
いつの間に注文したのか、ガラスのコップに入ったバニラアイスを、アタシの前に勇ちゃんが差し出す。
「ありがと。」
スプーンで何度かアイスを運びながら、それでも手が進まない。
「・・・・。」
「おい!俺愛美連れて帰るわ。」
急に高貴が立ち上がり、アタシの腕を掴んだ。
「・・・・・。」
へ?
「その方がいいよ。疲れた顔してる。」
「熱でもあんじゃねぇの?」
「え・・・いや・・」
そんなんじゃ・・
そう言いかけたのも聞かずに、高貴が腕を引っ張る。
立ち上がり、連れ去られる瞬間。
「・・・・。」
「・・・・。」
ほんの数秒。
那智と視線がぶつかった。