「梨磨、とにかく場所変えよう?」


できるだけ同じ場所には長居したくない。

しかもこんな人のいないところに私と梨磨だけしかいない。



不良にでも囲まれたりしたら厄介だ。

それが男でも女だとしても。



それでなくてもさっきの爽やか美少年の棘のある言葉に精神的ダメージを少なからず受けているっていうのに。




「はぁ?何でよっ」


「いいから!」



このままこの校舎から出るのが得策だ。

どうせ入学式だし。

誰も真面目に受けない。





幸い廊下を通る際誰にも会うことはなかった。


このまま校門まで突っ切れる、そう思った刹那…―






「あー!こころちゃんみーっけ!」



玄関付近でたむろってる男らが複数。

そのうちの一人が世にも不快に私の名を呼んだ。