「…さみぃー…」


今すぐ、君の温もりを感じたい。


俺は食べ終わった弁当を片付け、ナツのいる教室に向かった。

教室のドアからナツを探していると、「蓮くん!」と前の方からナツが駆け寄ってきた。



「弁当、サンキューな。おいしかった」

「えへへー! 結婚したら毎日作ってあげる!」

「んじゃ、食えないな」

「…」

「…ナツ、今日の朝言ったろ」

「…うんっ! でもね、今日だけ…今日だけ、許して」

「…わかった」



ナツのキモチ…朝、聞いた。


驚いたし、嬉しかったさ。


だけど…言われた瞬間頭に浮かんだのは、



桃嘉の笑顔だった。



だから、



「ごめん」



そう、言ったんだ。