「れ、蓮…? どう、したの…?」

「それ、そのまんま返す。どうした?」

「ぇ…」

「なんかあった?」

「なんも…」

「噓付け。桃嘉の顔見ればわかる。俺には、話せない?」

「…っ」

桃嘉はものすごい申し訳なさそうな顔をしている。


…こんな聞き方をしたのが間違いだったかもしれない。


だけど…頭の中に谷口の言葉が過る。



『岸本とわかれてくんない?』



俺は、ギュゥッと桃嘉を抱きしめる力を強めた。


「蓮? ねぇ、なんか、蓮変だよ?」

「ぁー…確かに変かも」

「ちょっ大丈夫?! ほ、保健室からなんかもってこよっか?!」

「…じゃあ、一つ…頼んでもいい?」

「うん! なに?」

「…桃嘉」

「なに?」

「桃嘉、ちょうだい」


桃嘉はボンッと音を出すように、顔を真っ赤にさせた。