「…お願い、行ってよ…」
「…桃嘉、」
「これからは…一緒に、帰れるんでしょ…?」
「…ごめんな」
蓮はコツンと額をあたしの額とあわせた。
「堤、そいつシフト何時から?」
「ぁ、16時…」
「あと二十分かよ。店長にちゃんと言っとけよ。
あと、これで給料上げなかったら恨むぜ」
蓮はダッシュで校門を出て行った。
あたしの横を通る堤さんの表情…
勝ち誇ったような表情だった。
あぁ…もぅ、
ほんと、最悪。
「…バカ」
一緒に、帰れるんじゃ…なかったの??
言葉とは真逆なあたしのキモチ。
あの時…
触れるのが額だけじゃ足りない。
抱きしめて欲しかったよ。