「蓮! 帰ろ!」
「おぅ」
蓮と一緒に教室を出て、下駄箱で履き替えてる時だった。
「い、飯田!」
堤、さん…?
「なに」
蓮はいつもと違い、冷たい視線で返す。
「お願い、今すぐ…家に来て!!」
「はぁ?」
「へっ…??」
い、家?!
「今日はシフト遅いはずなんだけど」
「きゅ、急に大学生の人が熱だしちゃって…お願い!!」
「…あのな」
「お願い!!」
堤さんの目が、あたしに…
「あんたは邪魔」
そう言っている気がした。
そっか…
あたしと帰るから、蓮…行けないんだよね。
「いいよ」
「え…」
「急ぎ、なんでしょ…?」
「ざけんな。次そんなこと言ったら本気で怒るぞ。
俺は桃嘉と先に帰る約束してんだ。
わりぃけど、他の奴に頼んで」
「…ッ」
「蓮!!」
あたしは進む蓮の腕を引き止めた。