「…桃、今日も怖い顔してるよ…」

「…だって」

「まぁ…」


あたしの視線の先は、
爆睡中の蓮。

今日の授業…ほとんど寝てるよ。

いつもなら、あたしの方が寝てるのに。


放課後になっても、起きる気配がない。

しょうがない…。

あたしはそっと、蓮の肩を叩いた。


「蓮、蓮」

「…もも…?」

「もぅ放課後だよ?」

「…っ!! マジ?!」

「え…うん…」

あまりの反応の大きさに、あたしはびっくり。

こんな蓮…初めて、見たかも…。


「やっべ!」

「れ、れん…一緒に、帰れる…?」

「わりっ! 今日もちょっとな」

「そっ、か…」

「明日」

「え?」

「明日、一緒に帰れる」


蓮はそう優しく笑って、
あたしの頭をポンと叩いた。

「んじゃ、また明日な」


これだけで、

あたしの気分は晴れてしまう。