体育倉庫につけば、ドアは閉まっている。

手にかけても、上手く開かない。

俺はグッと力を込めて開けると、

見事に開いた。

「…なぁにしてんだよ」

「れん…?」

体育倉庫の中には、真ん中で踞っている桃嘉。

「まだ暗いのダメなのかよっ」

前から…何も変わってない。

「…れんーっ」

桃嘉は、ギュッと、俺に抱きついてきた。

ほんの少し…体が震えていた。

体が冷えてる。


俺は腰に巻いていたジャージを桃嘉の肩にかけた。


「これ、着て」

「え…」

「体育倉庫、寒かったろ」

「…んっ…」


ウルウルと目に涙をためている。

恐がりな桃嘉のことだ。

たぶん…ずっと、この狭くて暗い部屋で我慢してたんだと思う。