「…いいの? 桃嘉ちゃん」

「あいつは、飯田にべた惚れだよ」

「…」


俺が転校してきてた時からわかってた。

彼女の視線の先はいつだって、

飯田だったから。


俺が隣に座ってても、

その瞳が俺に向いた事は一度もない。


話しかけて、俺を見たと思ったら、

ほんの少しの間でも、飯田を見つめていて。


敵いっこねぇじゃん。

あんなに惚れさせてさ。


あんなに…惚れててさ。



「バカだね、あんた」

「あ?」

「そんな事わかってたでしょ?

なのに、

なんで惚れたの?」

そんなの…

答えは、一つだ。