「こっち…見てよっ!! あたしを見てよ!!
女は桃嘉ちゃんだけじゃないんだよ!!!」
その言葉で、俺は現実に戻されたような気がした。
目に涙を溜めて、必死に何かを伝えようとしてる。
「桃嘉桃嘉って、学校でも、桃嘉ちゃん以外の女の子には冷たくして、そんなの…っ
ただの気休めじゃん!! 心配させないため、って…信じてないのは蓮くんじゃん!!」
「…」
「ちゃんと…周りも見てよ…っ!!
蓮くんを好きなのが、桃嘉ちゃんだけだとでも思ってるの…っ?!」
「ナツ…」
「思ってんなら、大バカ者だよ!! ちゃんと、目開けて、見てよ!! 目の前にいる人見てよ!!
目の前に、蓮くんを好きな女の子がいるんだよ!!!」
ナツの目から、大粒の涙が溢れ出す。