別荘に戻れば、谷口がリビングのソファに座っていた。


「岸本…?」


あたしは、谷口の隣に座った。


「…飯田は、いいのかよ」

「…よく、ないけど…」

「んじゃ、戻れ」

「でも、今は…蓮と、いたくない…」

「…」

「あたし、さ…弱虫なんだ。言いたい事も、ろくに言えないの。奈津子ちゃんに文句がないなんて、噓だし…本当は蓮に…


”あたしだけ見て”って言いたいの…」


けど、言えない。

言う…勇気がない。



情けなくてしかたない。




「あたし、寝室にいるね?」


そう言って、ソファから立ち上がったときだった。