ため息をした時だった。
「岸本…?」
バッと顔をあげれば、そこには水着とパーカーを着ている谷口。
「ど、どうして…?!」
「いや…ばあちゃん家がこっちでさ。岸本は?」
「ぁー…奈津子ちゃんの別荘に、誘われて…」
「お前が?」
「…蓮も」
「なるほどっ」
谷口は「隣いい?」と聞いてきて、あたしはコクンと頷いた。
「どっこらしょ」と言ってあたしの隣に座る。
「行かないの、向こう」
”向こう”ってのは、蓮と奈津子ちゃんの方。
「…行く気分じゃない」
「ふはっ」
「ねぇ、谷口も奈津子ちゃんみたいなボンキュボンの方が好き?」
「ぶっ」
谷口はゲホッゲホッと咳をしながら、クスクスと笑った