「あたしの願い、叶っちゃった」

「? 短冊に書いたの?」

「うん」

「へぇ、なんて?」

「…秘密」

「はぁ?」

「秘密!」


そう悪戯っぽく笑う岸田は可愛くて、何も言えなかった。


「ねぇ、いい」

「はいストップ」

「?」

「”飯田”なし」

カレカノで名字呼びはないだろ…。

って、俺もちゃんと呼べるか心配なんだけど。

「…れ、ん?」

「そ」

「…蓮も呼んで」

「桃嘉」

「…なんか悔しい」

「あ?」

「なんでそんな普通に呼べるの?」

小さく「すごく緊張したのに」と呟く桃嘉に思わず笑みが零れる。

普通?

そんなわけがない。

俺だって…緊張した。

引っ叩かれないかな、とか。柄にもなく思ってた。


もちろん、この事は桃嘉に内緒だ。