「あ、たし…期待、してもいいの…?」
不安そうに聞く岸本が弱々しく見えた。
「ねぇ、いい」
「…ムカつくに、決まってんだろ。殴りかかりたくなるだろ」
俺は岸本の言葉を遮って言い続けた。
「好きな女の事悪く言われて、キレない男がどこにいるんだよ」
俺のこの言葉に、目を丸くする岸本。
「期待、しろよ。自惚れていいから」
「ほ、んと…? ほんとに?」
「うん」
「ほんとに? どっきりとかじゃない?」
「しつけーよっ。…好きだよ」
俺は優しく、岸本の頭を撫でる。
すると、嬉しそうに、俺の胸に飛び込んできた。
「あた、しも…好き」
「ふっ、知ってる」
俺は、ギュッと岸本を抱きしめる。
岸本は、思ったより全然小さくて、俺の胸にスッポリ入ってしまう。