「まぁ、とりあえずあがれよ」

「お、お邪魔します…」

普段の岸本とは思えないぐらい緊張していて、思わず笑みが零れる。

「飲み物、アイスティーでいい?」

「ぁ、うん…ありがと」

「俺の部屋二階の一番奥。勝手に入っていいから」

「お邪魔します…」


そう言って階段をあがっていく岸本をみて、俺は小さく吹き出した。

って、笑ってる場合じゃない。

ヤバいだろ、これ。

好きな女が自分の部屋にいるって、結構ヤバい。

ってか、女一人で男の部屋に来る事自体間違ってる。


はぁ…あいつって、案外無自覚だよな。

自分が可愛いって自覚してねぇだろうし。

自覚してたらしてたで、自意識過剰だけど。


俺はアイスティーを二つもって、自分の部屋に入った。

そこには、正座で座ってる岸本。


「んな、足崩していいって」

「ぅ、ん…」


ゆっくり足を崩して行くけど、やっぱりまだ緊張してるみたいで。