だって… 彼の優しさを知ったから。 『女が震えてるの、黙ってみてるわけにはいかねぇだろ』 不覚にも、ドキドキした。 思い出せば、思い出せば…飯田は優しかった。 勉強だって、嫌そうにしてても、結局は教えてくれる。 荷物だって、『男だから』と言って多くもってくれる。 暗い中、あたしが不安にならないように、できるだけ側にいてくれる。 どれも…彼の優しさで。 冷たい言葉で返されてたから気づかなかった。