『先に好きになったのは
あたしなの!!
だからなっ…』
と言い続ける稚沙に思わず
『何なの!?
あんた一目惚れとか言う
けど彼氏いたじゃん!
彼氏だけ見てたんじゃ
ないの!?
勝手なことばっかり
言わないで!』
あたしは右手をあげて
ビンタをくらわせて
やろうと思ったのに
あたしがビンタを
する前に
パシッ――
と乾いた音がなった。


えっ?
あたしまだやってないのに…何で?
隣を見るといたのは…
『由……夜』
『稚沙っあんた!!
いい加減にしなよ!
そうやってまた友達の
スキな人と
付き合ったわけ!?
あんたに人をスキになる
資格なんかないっ。
麻衣はずっと黒崎のこと
だけ想い続けてた!
それなのにっ…あんた!』
初めて由夜の怒った顔を
見た。
ただただ見ていることしか出来なかった。
『もういい…行こっ麻衣』『うん』
あたしと由夜は稚沙を
残してその場を
後にした。

『ごめんな…
内容聞いちゃって』
『いいよ別に。
代わりにビンタやって
くれたし…
さっきのまたって
どうゆうこと?』
ふぅ…と
前髪をあげながら
ため息をつく由夜…